乳がん診断をさらに充実させるために

医療法人慶友会守谷慶友病院様事例 前編

「マンモグラフィに痛みはつきもの」とお考えではありませんか?
必要最小限の痛みで精度を担保。検査時の患者さまのご負担を減らします。

守谷慶友病院様:前編

|2018-12-03

前編

今村院長:当院は、つくばエクスプレスの開通 などで人口が増えている守谷市に立地しており、 乳腺外科は検診を必要とする年代から90歳台の 高齢者まで、幅広い年齢層の患者さんを診てい ます。そして、近年は乳がんの手術件数が急激に 増えました。当院では、この1年半で150~160件 程度と茨城県内でもかなり多いほうです。さま ざまな状況に対処するためには、関連医療施設、 患者さんとの間で、正確な情報を共有しなければ なりません。このような事情で、以前から意識して 情報共有に注力してきましたので、乳腺外科は、 当院のなかでも地域医療連携が特に充実した 部門となっています。

慶友会守谷慶友病院今村院長

塚田科長:以前のマンモグラフィ装置は、当院で唯一フィルムレスに対応していませんでした。 更新を考えて、4月のITEMをはじめ、実際の施設 を見学するなど各社の装置を確認しました。当院 では診断からフォローアップまで行っていますので、 基本的な性能の高さ、トモシンセシス機能が装備 されていること、被ばくが少ないこと、日本人に 適した画質が得られることという、4つの選定条件 を設定していました。Siemens Healthineersの トモシンセシスは振り角がとりわけ大きく、より 広い角度から情報が得られますので期待していました。実際のトモシンセシスの画質を見てMAMMOMAT Inspiration がよいと思っていたところに、タイミングよく新しくリリースされた MAMMOMAT Revelation(以下、Revelation)を 紹介されました。同等の性能を持つトモシンセシスが搭載されているだけでなく、マンモトーム検査で穿刺したまま標本撮影ができる点を評価し、導入を決定しました。

塚田科長:乳房の病変はその形態や周りの組織 との位置関係によって、見やすい角度と見にくい 角度が発生します。従来の2Dでは撮影方向が決まっており、デンスブレストや組織の形態によっては病変が見えづらいケースがありました。 診断の確度を上げるためには、超音波検査である 程度把握している病変が、マンモグラフィでも見えることが重要だと思います。いろいろな角度から撮影したデータで画像を作るトモシンセ シスは、診断に有効であろうと期待していました。 また、トモシンセシスは超音波検査と比較しながら診断することができますので、最初からよい印象を持っていました。実は先日、実際に、超音波検査でわかった病変が2D画像では見えなかったのに、トモシンセシス では見えたという事例がありました。Revelation のトモシンセシスは振り角が大きいので情報量が多く、深度方向の精度も高いのでよい画像が得られるだろうと期待していましたが、我々の予想 以上に病変を捉えてくれる、診断しやすい画像でした。

今村院長:外来で受診された方については、石灰化に強いマンモグラフィと腫瘤に強い超音波 検査をセットと考え、両方の検査を行っています。今後、どの程度トモシンセシスが活躍してくれるか興味深いですね。マンモグラフィと超音波検査 の両方が同時に行える装置があれば理想的なのですが、トモシンセシスがそれに代わる診断装置として機能してくれれば、現時点ではそれが最良だと思います。超音波検査とは異なり、トモシン セシスには画像の再現性があり一定の読影環境 が得られますし、Revelationのトモシンセシスはスライス画像が鮮明なので、客観的な判断が 容易になるのではないかという期待を持っていました。

湯澤主任:デジタルになることで、最適化された 画像をもとに診断ができるようになると期待していました。その一方で、撮影する立場としては、トモシンセシス検査では通常より検査時間が長くなることに不安を感じていました。導入後は、以前より部屋の照明を暗くして撮影 していますが、装置本体のイルミネーションパネルの明かりがとてもよい雰囲気を演出してくれています。そのおかげか、患者さんから不安な声を聞いたことはありません。明かりの色はできるかぎり患者さんの気持ちを考えて設定するように しています。患者さんから「検査室がきれいに なったね」と言われたこともあります。検査前には患者さんに安心してもらえるように、お話をすることを心がけています。

今村院長:さまざまな使い方がありますが、少なくとも人間ドックでは、将来的にトモシンセシスをメインに考えていこうと思っています。 情報量が格段に違うのは明らかですから、どんな 役割を与えるかということになります。たとえば、最近の超音波検査でよく見えるようになってきたリンパ節に対して、トモシンセシスで転移が見つけ られるかどうか。超音波検査と比較してどのような 種類の腫瘍に対する診断能力が高いか。そのあたりが判断の基準になると思います。フォロー アップについても、超音波検査の内容をカバーする力があるかどうか、乳管内拡張や乳がんの進展具合など進展度、深達度をいかに把握できる かの見きわめが必要です。従来のマンモグラフィとの比較ではなく、超音波検査やMRIなど他の モダリティと比べてどうか、どれだけ正確に把握して正しい術式を選択できるか、といったことが重要になると思います。

池田先生:乳がんだけでなく乳腺症や繊維腺腫も含め、トモシンセシスがあるとないでは、見えるものががらりと変わってきます。高濃度乳房の腫瘤の診断精度が高まり、良性か悪性かの判別やカテゴリー分類がこれまでより自信を持って行えるようになります。それが一番の魅力です。石灰化の広がりや分布も立体的に把握できますので、たとえば区域性かどうかなど、判断の確度が高まります。フォローアップでは、腫瘤については超音波検査で行うケースが多いのですが、Revelationのトモシンセシスなら超音波検査がなくてもわかると思えるくらいよく見えます。見える世界が変わったという印象ですね。浸潤範囲の精度についてはMRIに譲りますが、腫瘍の範囲、石灰化の広がりの把握に関しては非常に優れています。

今村院長:術前のトモシンセシスの適用として、広がりの把握のために用いたらどうかと考えて います。まだ使用経験として確たるものがありま せんので今後のことになりますが、たとえば非浸潤性乳管がん(以下、DCIS)では、超音波検査や MRIで判断した範囲より、病理ではDCISが認められる範囲が広いことがあることを実際に経験しています。手術をする側にとって最もほしい情報は、乳房のなかでどこまでががんなのかという正確な範囲です。がんの範囲によって手術方法も変わります。本来なら乳房を温存できる人に対して切除術を選択しているおそれや、温存術を選択してはいけない患者さんに乳房を温存しているおそれもゼロではないのです。そういった場面でトモシンセシスが、がんの進展、広がりをどこまで表現してくれるかに興味がありますし、実際に検証していきたいと思っています。また、患者さんへ説明するときも同じ画像を見ながら話すほうが理解しやすいだけでなく、説得力も増すと思います。明瞭な画像を使い情報 を共有していくことは、医療機関と患者さんとの信頼関係を築くためにも大切だと思います。


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