医療制度・病院運営

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医療改革が進む中で、各医療機関は、地域における自施設の機能の確立と、その機能に見合った患者の確保に迫られています。そこには、院内の検査室が検査の視点からサポートできる部分があるはずです。病院全体の目標につながる検査室の取り組みにはさまざまなものが考えられ、検査室からの提案・アピールが望まれています。


病院全体の目標につながる臨床検査室の取り組み

医療改革が進む中で、各医療機関は、地域における自施設の機能の確立と、その機能に見合った患者の確保に迫られています。そこには、院内の検査室が検査の視点からサポートできる部分があるはずです。病院全体の目標につながる検査室の取り組みにはさまざまなものが考えられ、検査室からの提案・アピールが望まれています。



2025年モデルを表す3枚の図

医療提供体制の2025年モデルとは、社会保障と税の一体改革の議論の中で策定された、将来めざすべき姿です。2011年末からさまざまな行政資料に登場するようになり、現在も、医療行政に関する講演や講義でたびたび取り上げられています。ここでは、2025年モデルを表現した代表的な図3枚を取り上げて、そのポイントをご説明します。

図1は現状(2011年)と将来(2025年)の病床区分の状況を比較した図です。この図のポイントは以下の通りです。

  1. 現在の一般病床が、2025年では高度急性期、一般急性期、亜急性期に区分されている
    現状では一般病床はひとつの括りとなっています。診療報酬上は、DPC の群分けや看護配置により一般病床の中にも区分けが存在しますが、その区分けと機能(=受け入れている患者像)が必ずしも一致していません。将来像では、明確な区分と、その区分に見合った人員配置を整備し、その区分に見合った患者を受け入れる体制を想定しています。また別の資料では、平均在院日数については、高度急性期は15~16日程度、一般急性期は9日程度、亜急性期・回復期等は60日程度とあり、職員数については、高度急性期は現状の2倍、一般急性期は6割増、亜急性期・回復期等はコメディカルを中心に3割増、などと書かれています。
  2. 2025年の図は上に行くほど幅が狭くなっている
    これにより、上(より急性)の方の区分ほど病床数を少なくするというイメージを表しています。その数は図2に具体的に書かれています。
  3. 2025年の区分けの線は破線で、右上がりの斜めになっている
    破線は、各区分の中で患者のケアが完結するのではなく、患者が各区分の間を移動(転院・転棟)することを意味しているようです。また、右上がりになっているのは、年代が進むほど、上位の区分の病床数を減らしてゆくという意味であると言う人もいます。
  4. 「地域に密着した病床での対応」というタテ長の帯がある
    医療資源(医療機関や医療職職員)が少ない地域では、病院・病棟を機能ごとに明確に分けて連携するという体制は無理があります。そこで、国があらかじめ指定した医療圏(平成25年時点では全国で30の2次医療圏)では、このような区分を推進せず、個々の施設がいくつかの機能を重複して受け持つということを想定しています。
  5. 2025年の図では居宅系サービス、在宅サービスの部分が大きく増えている
    図の右端の「施設から地域へ、医療から介護へ」という矢印に呼応して、現在は病院の病床でみているような患者を、病院以外の居宅系施設あるいは在宅で、介護保険でみていくという方向を表しています。24年度の診療報酬改定でも在宅医療関連に大きな財源が割り当てられました。

図2は現状(2010年)と将来(2025年)の区分ごとの病床数を比較した図です。この図のポイントは以下の通りです。

  1. この図の呼び名について
    現状の図は誰もがワイングラス型と呼び、将来の図は核弾頭型と呼ぶ人が多かったですが、最近はビールジョッキ型と呼ぶ人が出てきています(そのほうが穏当でいいですね)。
  2. 現状に比較して将来では、7対1あるいは高度急性期に相当する部分が大きく減っている
    現在の7対1病床の数は当初の国の想定を遥かに超えて多くなっています。ほんとうにそれだけの看護を必要とする患者がどれだけ入院しているのか?という疑問のもと、国はさまざまな調査を行い、将来的にこの部分を絞る方針で動いています。
  3. 現状に比較して将来では、13対1、15対1、療養病棟あるいは亜急性期・長期療養に相当する部分が大きく増えている
    人口に占める高齢者の割合が大きく増える将来には、療養病床でみるべき患者や、高齢者に多い軽度の救急(Sub-acuteと呼び、これを亜急性期病床で受け入れることを想定している)患者が増えると予測されています。また、一般急性期病床の平均在院日数を9日と短く設定していることと関連して、急性期を脱した患者(Post-acuteと呼ぶ)が亜急性期病床に転院・転棟することも想定し、この部分の病床数を厚くしています。
  4. 各区分を区切る破線の位置と本数が現状と将来で一致していない
    現状の区切りは看護配置で区切っていますが、将来のほうは高さが微妙に異なり本数も少なくなっています。上記では看護配置区分でいろいろ書きましたが、この図の将来の区分は必ずしも看護配置によるものではないと考えられています。
  5. 追加情報
    この図のポイントではありませんが、平成26年度から開始される「病床機能情報報告制度」では、すべての病院は保有する病床について病棟ごとに、現状はこの将来像のどの区分であるのか、そして将来的にはどの区分にするつもりか、を都道府県に報告することが義務付けられます。その集計が出揃った後には、2025年の姿の実現に向けて、国や都道府県によるさまざまな誘導や規制が実施されることになるものと思われます。

図3は外来医療に関して現在と将来の方向性を比較した図です。この図のポイントは以下の通りです。

  1. 「地域の拠点となるような病院」では一般外来を縮小し、「診療所等」に外来患者をシフトするという方向性
    このような方向性は以前からずっと謳われていますが、なかなか進んでいないのが実情です。2025年の入院医療の姿と合わせてこの図が再三使われていますので、この図の内容の実現のため、今後ますます誘導や規制が実施されるものと思われます。
  2. 「診療所等」の外来部分には、方向性では「訪問診療等」という言葉が加わっている
    図1の入院医療の図では、居宅系や在宅の患者の数が将来は大きく増えるようになっています。その部分のケアを「診療所等」に期待しているため、こういう表現になっているものと思われます。
  3. 「地域の拠点となるような病院」と「診療所等」との境界は?
    病床数200床が境界と考えられます。現在、診療報酬上は、病床数200床以上か未満かで異なるものがいくつかあります。外来患者の再診料がさまざまな検査・処置を包括した「外来診療料」に替わるのは200床以上です。これによって200床以上の病院では外来の収益性が包括の点数分だけ低くなります。紹介状なしの外来初診患者に料金の上乗せができるのは200床以上の病院です。これは、200床以上の病院は料金上乗せで紹介なしの初診患者数を絞ってほしいというメッセージです。また、糖尿病、高血圧症、脂質異常症の外来医療の点数である「生活習慣病管理料」を算定できるのは200床未満の病院・診療所だけです。(ただ、これら「200床」の数え方が許可病床数となっているものと一般病床数となっているものがあります。)このような現状から、外来患者を増やすべき施設と減らすべき施設の境界は200床と考えられます。